100棟ビルダーへの道

野里泰造(株式会社リブ・コンサルティング)

はじめまして。

この度、100棟ビルダーへの道というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

このコラムでは、景気の波に左右されずに、安定的に成長を遂げている住宅会社様の特徴を分析し、皆様の経営にお役立ていただく事を目的としてお届けいたします。

100棟ビルダーへの道 Vol.2

営業編①:来場したお客様を見込み客化するためのポイント

はじめに

10月の集客編①に引き続きまして、今回は「営業編①:来場したお客様を見込み客化するためのポイント」
というテーマで執筆をさせていただきます
株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

わたしたち(株)リブ・コンサルティング 住宅不動産事業本部では、全国各地のコンサルティング、
また、「住宅購入を検討している一般消費者による接客調査」を通じて、
今、接客現場で起きている課題を特定し、「お客様目線」「営業現場目線」で
解決するための様々なソリューションを提供させていただいております。

本稿は、特に昨今ご相談をいただくことの多いテーマである
「来場したお客様を契約まで導く期間の長期化」あるいは、「案件化ならず、競合負けの多発」
といった課題を受けまして、日々奮闘される営業組織の組織運営のお役に立てればという想いで執筆させていただきます。

"営業担当者が話したい事"と、"お客様が聞きたい事"は99%ズレている!?

今、営業現場では何が起こっているのでしょうか?
(株)リブ・コンサルティングでは、全国の販売現場において、
接客覆面調査(ミステリー・ショッピング・リサーチ※注)を行っており、
「お客様の生の声」を集めながら、「どのような販売方法がお客様の心に響くのか」を現場に
フィードバックしています。

      (注)
      ミステリー・ショッピング・リサーチ(MSR)とは、(株)MS&C社が提供する
      日本全国で40万人の会員(2014年11月時点)を持つ、営業現場の覆面調査サービスです。
      会員は30代女性を中心とした一般消費者で構成されており、「顧客の声」を知るためのツールとして
      業界でも数多くの導入実績があります。

「売れている販売現場においてどのようなアプローチがされているのか」、
「どのようなセールスがお客様を契約へと導いているのか」について
お客様の心理を解きほぐしながら考察していきたいと思います。

覆面調査では以下3つの視点に基づいて調査をし、
一般モニターが200点満点で採点を付けています。

    (1)「ホスピタリティ」(お客様に誠実に対応する力、おもてなし・気配りの力)
    (2)「セールス力」(お客様を契約へと導く力)
    (3)「組織サポート力」(モデル棟やホームページなどの分かりやすさ、印象)

最新の接客調査内容、特に「セールス力」にフォーカスして見ていきますと、おおよそ3つの傾向に分類されることが分かってきました。

典型的な事例として
    A社 93点(競合負けレベル)
    B社 144点(平均点レベル)
    C社 186点(競合勝ちレベル)
のそれぞれを、以下ご紹介したいと思います。
一体、お客様の感じ方がこれほど違ってしまう理由はどこにあるのでしょうか。

A社	93点(競合負けレベル)

B社	144点(平均点レベル)

C社	186点(競合勝ちレベル)

A社の接客(94点)は、お客様の気持ちを無視して自社商品の強み・特徴を一方的に話し続けるセールスであり、いわゆる「プッシュ型セールス」と呼ばれます。お客様に「押し売り」と受け止められてしまった結果、
「嫌われる接客」になっています。当然、契約には結び付きません。次回アポイントも取得できません。
ここでのポイントは、自社商品のことを一生懸命伝えようとすればするほど、知らず知らずの内に
お客様に「何だか私の聞きたい話とはずれている」と思われてしまっていることです。
当然ですが、嫌われようと思っている営業担当者はいないでしょう。
にも関わらず、今のお客様のニーズを把握できていないこと(あるいは、そもそもスキルが不足している)
から競合負け接客になってしまっているのです。

B社の接客(144点)は、控え目だけど印象に残らない「プル型セールス」です。
お客様のコメントを見ると、営業に対して悪い印象は持っていません。ただし、好かれてもいません。
結果、印象に残らない接客になってしまっています。
したがって、競合優位に立つことはなくこのケースも契約に結び付くことは稀です。

実は、最近の全国接客調査において、この「B社の接客」(=嫌われないセールス)が
非常に多くなってきていることが分かっています。
営業担当者は、「賢い消費者」「情報収集を既に終えてから来場しているお客様」が増えているという事実が
感覚的に分かっているので、妙に腰が引けてしまい、
「どうぞどうぞ、お好きに見ていってください(私はそんなに邪魔はしませんから・・・)」
という姿勢になってしまっている事が、むしろ不満点となって挙がってきています。

理想的なのはC社の接客(186点)です。
お客様にしっかりと情報提供することで住まい選びのパートナーとなっています。
そして、その上で自社の強みに誘導しようとしています。これを「ナビゲーションセールス」と呼んでいます。
今、接客現場では「賢い消費者」に対して、プロとしての見識を示す(だけの情報を持っている)ことで
お客様をあるべき姿へ導いていく力を持った営業担当者(会社)が最終的に選ばれているのです。
お客様は潜在的に「私の事情を踏まえた最適な提案をして欲しい」という欲求を持っています。
お客様の状況を詳細に理解しながらも、自社/商品の「主張」や「こだわり」が力強く伝わってくる
・・・(結果、自社/商品の強みに誘導できる)セールスこそ、本当にお客様に「好かれる接客」です。

「お客様心理」を科学する

全員がナビゲーションセールスを実現するためには、具体的に何を行えばよいのでしょうか。
端的に言えば「マニュアル化する」という事に尽きます。

ですが、多くの場合「マニュアル化」と言うと、契約までの流れに関して「販売側(我々)が何をするか」という視点で整理をし、その流れを体系化するといったイメージを持たれます。
確かに、接客の流れを標準化することは一定の効果はありますが、
それだけではお客様の心理を無視して話を進めてしまう危険性もあります。

ナビゲーションセールスを実現するための「マニュアル化」とは、
「お客様の心理状態の変化を体系化する」という事です。

お客様の心を掴むのが上手な営業担当者は「お客様の心理が今、どの段階にあり、
それをどうやって前に進めていくか」を常に意識して、お客様とのコミュニケーションを
前に進めようとします。
このお客様が最終的に「ぜひこの会社で/この営業担当者から買いたい!」という気持ちに至る(=契約)までのステップも細分化することができ、「購買心理ステップ」と呼びます。

お客様の心理状態を的確に押さえた商談ステップを描けるかどうかが、ナビゲーションセールス実現の最初の一歩となるのです。

購買心理の詳細に関しましては、次回「営業編②」で改めてご紹介いたします。

まずは、自社の営業組織の現状について把握される事から
始められてみてはいかがでしょうか?

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リブ・コンサルティングについて
会社名 株式会社リブ・コンサルティング(LiB Consulting co.,ltd.)
事業内容 総合経営コンサルティング業務
企業経営に関する教育・研修プログラムの企画・運営
企業理念 “100年後の世界を良くする会社”を増やす
設立 2012年7月 社員数 85名
東京本社 東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエアウエストタワー20F
大阪オフィス 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1-45 新大阪八千代ビル 10階
韓国支店 CCMM Bldg 12,Yeouido-dong, Young deung po-qu, SEOUL

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