100棟ビルダーへの道

野里泰造(株式会社リブ・コンサルティング)

はじめまして。

この度、100棟ビルダーへの道というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

このコラムでは、景気の波に左右されずに、安定的に成長を遂げている住宅会社様の特徴を分析し、皆様の経営にお役立ていただく事を目的としてお届けいたします。

100棟ビルダーへの道 Vol.5

商品開発編:販売のしやすさから逆算した「商品開発」のポイント

はじめに

新年明けましておめでとうございます。
「商品開発編:販売のしやすさから逆算した商品開発のポイント」というテーマで執筆をさせていただきますリブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

昨年から「集客編」「営業編」と、
「見込客の来場減が想定される中での"集客"のあり方」
「お客様に選ばれる"営業"のあり方」
についてご紹介してまいりました。

今回は「商品開発」がテーマですが、
皆様は「商品開発」と聞いて、まず何をお考えになるでしょうか?

「どんな素材を使おうか」
「構法は?」
「部材は?」
「商品名は?」

等々、色々とお考えになるでしょう。

実は、「商品開発」と聞いて真っ先に上記のようなお考えが浮かんでこられた場合は、
「開発したものの、思うように売れない」といった事態に陥るリスクが高いのです。

今回は、このようなリスクに陥らないための「販売のしやすさから逆算した商品開発のポイント」
についてご紹介してまいります。

「商品開発」ではなく「製品開発」に陥る罠

一般的に「商品開発」というと、経営幹部と生産部門(設計あるいは工務)が中心となって
新商品のプランニングから検討を始めていくケースが多く見られます。

例えば、以下のような手順です。

上記の手順では、知らないうちに商品開発の本来の目的である「売れる商品を創る事」から大きく外れてしまう場合があります。

では、「売れる商品を創るためのポイント」はどこにあるのでしょうか。

端的に言えば「お客様が求めているものを創る事」です。
こう表現しますと、「そんな事は分かっている、当たり前だ」と思われるかもしれません。

ですが、「分かってはいるものの、実際はできていない」という現状が多いのも事実です。

例えば、事例として挙げました上記手順の中には
「実際のユーザー(お客様)が求めているものを把握する」といったプロセスが抜けています。

もちろん実務上では「これまでの経験則からお客様ニーズを想定しているから問題ない」
というお考えかと思います。

しかしながら、以前と比べて市場も「お客様の求めているもの(トレンド等)」も
目まぐるしく変化をしている現状では、過去の経験則が効果を発揮しない、
むしろ通用しないといったご経験も少なくないのではないでしょうか。

これでは、「求めているものが分からないまま膨大なコストを掛けて商品開発を行っている」
と言わざるを得ません。
「当たる確率が全く分からない宝くじに膨大な投資をしている」ようなものです。
むしろ、まだ「宝くじ」の方が当たる倍率を予測する事ができるだけマシと言えるかもしれません。

では、どうすればより当たる(売れる)確率を高める商品開発が実現できるのでしょうか。

言うまでもなく、「お客様の声(トレンド)を押さえる」という事です。

具体的には、
「お客様(OB様含む)から直接お話を伺う"座談会"の実施」
「お客様のイメージをトコトン鮮明にする"ターゲットプロファイリング"」などが有効です。

座談会は「企業主導で作成したコンセプトやプラン案に対して、
お客様から直接フィードバックを頂戴する場面」 として活用します。

また、ターゲットプロファイリングでイメージする水準ですが、
単に、「30代子育て世代」といった「不特定多数をイメージする」のではなく、「家族構成」「職業」「年収」は勿論の事、「名前」「現住所」「趣味」「価値観と暮らし方」「所有している車種」といったパーソナルな情報といった ご家族一人ひとりの顔が見える水準まで掘り下げる必要があります。
こうする事で、「より実際のお客様が求めている事」を伺い知る事が可能になるのです。

もし現状「お客様ニーズを把握しないままの商品開発」となっている場合は、
極端な表現ではありますが、単なる「箱もの=製品を開発している」と言わざるを得ません。

「真の商品開発」は「お客様ニーズに裏付けられた商品開発」でなければなりません。

その意味で、効果的な(真の)商品開発を実現している企業では、
必ず検討段階から「営業担当者・販促企画担当者」を巻き込んで進めていきます。

彼らの方が「今、来場されているお客様との距離」が近いため、
「実際のお客様ニーズを把握する」といった目的に沿うからです。

「集客力」「購買決定力」の視点で商品を創る

ここまでご紹介してきた事は商品開発の検討プロセスに組み込んだという前提で、
「商品コンセプト」について見ていきます。

「商品コンセプトの設定(あるいは見直し)」において重要なのは、以下2点です。

視点①:自社商品は『建物』集客力があるか?

自社の商品を見直す際に重視したいひとつ目の視点は
建物のコンセプト自体に集客力があるか、という点です。

例えば、2005年前後までは「子育て&コミコミ価格」をコンセプトとした商品は集客力がありました。
しかし、今ではそれだけのコンセプトですと集客が難しくなってしまっています。

また、「耐震」や「構造」だけに特化した商品は、そもそもコンセプト自体に集客力がありません。
だからこそ、総合展示場など集客を担保できる出店形態と相性が良いのです。

今ですと「女性目線/奥様目線」「デザイン&ロープライス」などのコンセプトで勝負している企業は
建物コンセプトによる集客に成功していると言えます。

視点②:お客様の購買決定の基準になるか?

自社の商品を見直す際に重視したいふたつ目の視点は
お客様の購買決定の理由になりうる商品か、という点です。

現在30棟前後の工務店・ビルダー様では、「自由設計&地域密着」
という点をメインに訴求されている企業も少なくないのではないでしょうか?

しかし、これだけですとお客様が自社を選んでくれる判断材料としては弱いと言えます。

特に、入居および契約アンケートなどで、購入を意思決定した理由のうち
60%以上が「営業担当の人柄」「担当の●●さんが良かった」という場合は
要注意で、商品に魅力がないか訴求しきれていない可能性が高いでしょう。

一方で、複数の要素の掛け合わせにてこの購買決定要因を満たすといったケースもあります。
例えば「自然素材×FFC」のように単独コンセプトではなかなか売りづらい商品でも、
掛け合わせによって購買決定力を乗数的に高めることも可能になるのです。

上記2つの視点を兼ね備えた「コンセプトメイキング」を行うという事が重要です。

言い換えますと、「メインストリーム商品(=集客力×購買決定力)を持とう」という事になります。

メインストリーム商品とは「集客力と購買決定力の両方を兼ね揃えた商品」を指します。

いかがでしたでしょうか?
是非、「お客様のニーズを把握する」といった前提のプロセスは忘れずに踏まえた上で、
御社にとってのメインストリーム商品の開発を検討されてみてください。

リブ・コンサルティングについて
会社名 株式会社リブ・コンサルティング(LiB Consulting co.,ltd.)
事業内容 総合経営コンサルティング業務
企業経営に関する教育・研修プログラムの企画・運営
企業理念 “100年後の世界を良くする会社”を増やす
設立 2012年7月 社員数 85名
東京本社 東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエアウエストタワー20F
大阪オフィス 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1-45 新大阪八千代ビル 10階
韓国支店 CCMM Bldg 12,Yeouido-dong, Young deung po-qu, SEOUL

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