100棟ビルダーへの道

野里泰造(株式会社リブ・コンサルティング)

はじめまして。

この度、100棟ビルダーへの道というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

このコラムでは、景気の波に左右されずに、安定的に成長を遂げている住宅会社様の特徴を分析し、皆様の経営にお役立ていただく事を目的としてお届けいたします。

100棟ビルダーへの道 Vol.4

営業編③:営業活動の中の「提案手法」について、「見せ方・伝え方」による差別化のポイント~

はじめに

いよいよ今年最後のコラムとなります。
「営業編③:営業活動の中の"提案手法"について、"見せ方・伝え方"による差別化のポイント」
というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

今回が「営業編」最後のテーマとなりますが、前回までと同様に、「実際のお客様目線」で
「どのような販売方法がお客様の心に響くのか」
「売れている販売現場においてどのようなアプローチがされているのか」、
「どのようなセールスがお客様を契約へと導いているのか」につきまして、
生々しくご紹介していきます。

前回「営業編②」では、「心からお客様に信頼されること=心頼形成」が商談冒頭において
重要であることをご紹介しました。

今回は、「競合他社より自社・自社商品の"強み"がより魅力的に伝わる"見せ方・伝え方"」
について、お客様心理を紐解いてまいります。

「お客様の要望を敢えて聞かない事」が競合他社に差を付けるポイント!?

商談を進めていき、さていよいよプランニングに入る、そんな場面を想定してみましょう。
お客様から色々なご要望が出てきます。
こちらとしても、自社でご契約いただくために本腰を入れ始める、そんなタイミングではないでしょうか。
そこで、念のためこんな確認を入れてみます。

営業マン: 「Aさま、これから具体的なプランに入っていきたいと思いますが、ちなみに他でも検討してらっしゃるところ(他社)ってありますか?」
お客様: 「そうですね。Bハウスさんも気になってます。」
営業マン: 「そうですか。Bハウスさんは、どういったところが気になられてます?」
お客様: 「う~ん。外観デザインがオシャレだなと思って。」
営業マン: 「なるほど・・・・(ちょっと沈黙)」

この時の営業マンの心理を想像してみてください。
おそらく、「ウチでは厳しいかも・・」といった心理でしょう。
上記の場合は「自社に比べて、Bハウスの方が"デザイン性に優れている"」といった前提の会話ですが、
仮に商談を進めていく中で、こんなお客様がいらっしゃった場合、皆様であれば、この後どのように進められますでしょうか?

「Bハウスのプラン提案のタイミングより先んじて動けるように手配する」
「Bハウスの外観デザインイメージに合わせたプランニングを行う(あるいは設計に依頼する)」
など、いくつか競合他社より優位に立てるような動き方が想定されますが、
このような場合、最も大事なのは「お客様の要望を聞かない」という事なのです。

正確な表現をしますと、「お客様の要望をそのまま聞かずに、要望そのものを変えてしまうという発想を持つ事」が、「競合他社以上に魅力的に自社・自社商品を伝える」一番のポイントなのです。

背景について、掘り下げます。

そもそも、今や住宅あるいはリフォームに関する主に商品・サービスの情報は、口コミ情報含めて、
インターネットで検索すれば誰でもいつでも調べる事ができる時代です。

近年、商談の場面で営業マンの悩みとして挙がるのが、
「お客様の方が情報を持っている」
「初めから要望がはっきりしていて、これが良いと決めてくる」
「最初は漠然としていたとしても、色々と情報収集する中で確固たる選定基準を持ってくる」
・・・・なので、「自社・自社商品の強みに合う嗜好性のお客様しか契約できない」 といった内容です。

そして、上記の流れから、「お客様の嗜好性に合う新商品を作ってくれないと売るのは難しい」
といった他部門への責任転嫁も決して少なくはないのではないでしょうか?

では、お客様は本当に確固たる選択基準を持っており、要望をしっかりお伺いする事が
商談を進めるための鍵を握るのでしょうか?

確かに今のお客様はインターネットの影響で昔とは比べものにならないほど情報を基にした
理論武装をされています。
ですが、多くの方にとって実際のところ「購買経験がない」のが「住宅・リフォーム購入」の大きな特徴です。

これが、化粧品や日用品の場合であれば勝手は異なります。
お客様自身に「購買経験」があり、「こういう買い方をしたら成功する」、「こういうものを買うと失敗する」という成功体験・失敗体験があります。

しかし、住宅・リフォームの場合はお客様に「購買経験」がありません。
したがって、心のどこかで「不安」を抱えており、
「プロに納得のいく選び方を示唆して導いてもらいたい」という欲求があるはずなのです。
(※その意味で、他の業界では「販売担当員」は「ポータルサイト」や「口コミサイト」に
取って代わられていったかもしれませんが、業界においては全く違う、ということが言えるでしょう。)

実際に、「お客様による接客覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)」でお客様の声を見てみますと、
「単に御用聞きのように要望をただ受け止めるだけではなく、プロとしての見解も聞きたい」という心の声は
数多く見られますし、そのような営業マンを最終的に選んでいます。

「情報はあるが、実際の購買経験がない」からこそ、お客様は「選択基準を指定してもらいたい」という潜在的な欲求を持っています。
ここで大事になってくるのが「購買心理ステップ」における「アンカリング」という考え方なのです。

"アンカリング"なくして"差別化"なし ~お客様に選択基準をお伝えする~

アンカリングとは「お客様が"なるほど、住宅・リフォームを選ぶ際の重要なポイントは○○なんだな"と
大きな気付きを得ている状態」を指します。
(「アンカリング」とは「船を港に繫ぎとめておくアンカ-(碇)」を語源とし、
「他へ移動してしまう=他社へ誘導されてしまう」事なく、「港=自社」に繫ぎとめておくための機能を意味します)

お客様が選択基準を判断していくための情報は数多く溢れています。
ある会社は「構造・性能品質の高さ」という売りをアピールし、
ある会社は「子育て環境を意識したプランニング」をアピールします。
そんな中、お客様はどういう判断基準で購入すればいいのか「指針」を持ちたいと思っています。
それをしっかりと認識してもらうのがアンカリングの役割です。

言い換えますと、この「判断基準」を「自社・自社商品に設定できる」と
競合他社より「自社・自社商品の強み」をより魅力的に伝える事ができるのです。

先ほどの「お客様事例」で言うと、要望(選択基準)で重要なのは「デザイン性の高さ」でしたが、
このような場合におけるアンカリング事例を見てみましょう。

上記の例では「住宅は内装(ソフト)ではなく構造体(ハード)で選ぶべき」、という判断基準を設定しています。これがアンカリングです。

そして、もちろん、自社・自社商品にとって有利な判断基準をお客様に設定する必要があります。
上記の例では、自社・自社商品が「構造体(ハード)に強みを持っている」からこそ話しているのです。

このアンカリングが掛かれば、極端な話、競合他社をお客様が見に行った際にも
「構造体」という軸を重視してみてきます。
そして「結局、あなたのところが一番だった」と戻ってくるような仕掛けとなるのです。

自社・自社商品の強みを伝える事を「差別化」と言いますが、本当の意味で他社と差別化を図るためには、
この「アンカリング」を先に伝えて納得いただく必要があります。

いかがでしょうか?
このようにアンカリングは、競合優位性を持たせ自社・自社商品にナビゲートするための最大の仕掛けだという事がご理解いただけたのではないでしょうか。

「お客様の変化に対応できる営業マン」は、競合の戦い方をも特定し、
そして負けないようにアンカリングを設定・実践する事ができているのです。

是非、アンカリングを通して選択基準を変え他社を大きく引き離す提案を実践してみてください。

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