安定した受注を獲得するための5つの戦略

野里泰造(株式会社リブ・コンサルティング)

はじめまして。

この度、「安定した受注を獲得するための5つの戦略」というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

このコラムでは、景気の波に左右されずに、安定的に成長を遂げている住宅会社様の特徴を分析し、皆様の経営にお役立ていただく事を目的としてお届けいたします。

安定した受注を獲得するための5つの戦略 Vol.2

事業戦略:二次取得シニアマーケット開拓のための体制構築~

はじめに

「安定した受注を獲得するための5つの戦略」というタイトルで執筆をさせていただきます
リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。

このコラムでは、安定受注を実現するための戦略に焦点を当ててご紹介していきます。

第二回目は、「事業戦略:二次取得シニアマーケット開拓のための体制構築」というテーマです。

2016年以降に市場が縮小する要因として、「土地なし一次取得市場の激減」が挙げられます。

若年層の減少、年収の減少は既に確実ですし、円安による資材の高騰や
職人の高齢化・不足による製造コストの増加も改善する目処がありません。

これらから一次取得者マーケットの縮小は既に起きている未来という事ができるでしょう。
そこにもし「金利の上昇」などが起これば、もう一段一次取得者市場は縮小します。

また、一次所得者の経済状況に合わせて、「土地+建物」を超低価格で提供するパワービルダーが躍進し、
さらに勢力を拡大していることは皆様ご承知の通りです。

このように、新築市場が大きく冷え込むとの予想から、
リフォームや仲介など政府のテコ入れがある産業へ軸足を移すことを考えている会社様も
少なくないと思います。

しかし、一方で、新築市場の中で、
今以上に市場が拡大することが確実なのが「シニアの建て替え・減築・リフォーム・住み替え市場」です。

今回は、この「シニア層マーケット」がどの位の可能性があるのか、
また、なぜ開拓が難しいのか、さらにはシニア市場開拓に向けての戦略について見てまいります。

シニア市場の可能性

ご存知の通り、日本では高齢化が進行しており、
2030年には、国民の半数以上が50歳以上となると予測されています。

実際、新設着工戸数に占めるシニアの比率は増加傾向にあり、
最新の調査では、50歳以上が23.8%もあります。
また、大型リフォーム実施者でも、住み替え実施者においてもシニアの比率は年々高まっています。
そのような状況の中、50歳以上のシニア層は、75%以上の方が既に持ち家があるといった状況です。

今後、高齢化の進展とともに、シニアの建て替え・大型リフォーム・住み替え市場が増えていくのは
確実でしょう。

平均寿命も年々あがり、女性の平均寿命は80歳代後半となっていることから、
60歳で建て替えをしても30年近く住むことができるのです。
また、耐震面でも、間取りの面でも、生活面でも今住んでいる家とのミスマッチは
今後拡大していくでしょうから、これらも市場成長の後押し要因となるでしょう。

では、シニア世代が中心と言われている「建て替え市場」がどの位あるかを見てみましょう。
実は、年間の新築建て替え件数は約11.7万戸あります。
分譲まで入れた新築戸建ての着工戸数との比較では1/6ですが、
注文戸建ての新築着工戸数が約35.5万戸なので、その1/3を建て替えが占めています。

では、注文の新築を受注している場合、皆様の受注構成の1/3が建て替えとなっていますでしょうか。

自社の建て替え受注比率が1/3未満であるとすれば、
そこには、確実に機会損失が起きているという見方もできます。

では、自社が建て替え市場の開拓ができていないとすれば、その分はどこが取っているのでしょうか?
一番獲得しているのは「大手ハウスメーカー」です。
中でも特定の2社だけで、建て替え市場シェアの約10%の11,180戸を獲得しています。

さらに言えば、大手9社で、全建て替え受注の24%のシェアを取っているのです。
これは、住み替えについても同様で、
仲介大手5社でかなりのシェアを獲得しています。

その結果、建て替え市場や住み替え市場は相応にあるにもかかわらず、
地域のビルダーや仲介会社には、数少ない受注しか上がらないのです。

シニアからの受注が難しい理由

それでは、なぜシニア市場からの建て替えや大型リフォーム、住み替えの受注が
30%以上取れないのでしょうか。
単純に考えれば、「ブランド力の差」「認知度の差」と言った声が上がると
思いますが、果たして本当にそうでしょうか?

各エリアにおいては、各社とも広告を打ったり、現場があったりして、
エリア内の認知度やシェアは相応にあるという企業様も多いのではないでしょうか?

それが一次取得者向けであったとしても、シニア層の目にも触れていますので、
単純な認知やブランドの差は、言うほどの違いはありません。

実際は、それ以上に、シニア層からの契約が少ない要因として考えられるのは、

そもそも、シニア世代の集客ができていない・接触が少ない
シニア世代の顧客に対して、初回接客で信頼を得られていない
今取り組むことの動機づけが難しい
取りうる選択肢が多様に存在するため、結論を出せず未決になることが多い

といったものが挙げられます。
中でも、「③今取り組むことの動機づけが難しい」といった要因について、もう少し詳しく見ていきましょう。

まず、動機づけ要因とハードル要因を整理してみます。

シニアが取り組みたい理由
     ・古くなってきたからそろそろ
     ・将来のバリアフリーに向けて
     ・孫と一緒に住みたい
     ・地震などの災害が怖い

シニアが取り組みを躊躇する理由
     ・子育てをした思い出を壊したくない
     ・新たな負債を抱えたくない
     ・今の家のままでも住めなくはない
     ・老後の収入が限られている中で大きな出費は怖い

通常、一時取得者の場合は、「家賃」を払い続けねばならない環境にあるため、
家を持たなければお金を失い続けます。
また、いざ取り組もうと思ったら、良い土地や良い物件はなかなか出ないので、
出たら即押えるよう意思決定を促進できます。

シニアに建て替えやリフォーム、住み替えをするに当たっては、これらの動機後押し要因がないため、
納期が切りにくくなります。
そういう中で、上記の「取り組みたい理由」が「取り組みを躊躇する理由」を超える状態を作るのは
なかなか難しいことです。

もちろん中には、上手く
「今の生活を続けることのリスクを認識させ、一刻も早く、取り組みを進めた方が良いと動機づける」
「新たな生活のイメージを強く持たせることにより、早く取り組みたいという気持ちを喚起する」

そして、更に
「今、躊躇している理由を明確にし、それ以上の取り組むべき理由を用意しブレーキを取り除く」
といったことをしっかり行っている企業様もあります。

具体的な例で言えば、ターゲットを「都心の地価が高いエリアに住む建て替え層」に絞り、
その相手に対して、「住宅は出費ではなく、現金を建物という資産に等価交換する」
という視点で建て替えを躊躇する理由を取り除き、
その上で、「孫との暮らしや安全・安心などの生活イメージを訴求すること」により
建て替えへの意思決定を促している企業もあります。

ところが、これまで一次取得者の対応に慣れきったメンバーではなかなかこのように
確実にステップを上げていくことが苦手なようです。

シニアに対しては、次アポが取れなかったり、途中で途切れてしまうというパターンが多い場合は、
「今取り組むことの動機づけ」を見直す必要があるでしょう。

シニア市場の開拓に向けて

シニア市場の開拓に向けては営業の仕方よりも、戦略を考えることが重要です。

そもそも自社が開拓したいエリア(都市部・郊外・田舎) とターゲットによって
シニア市場の開拓の取り組み方が変ります。
また、選んだターゲットの方々のどういうニーズに応えるために、どういう解決策・支援策を用意するのか、
仮に今の自社の商品・サービスだけで不足する場合は、いつまでにそのサービスを開発するのか、
提携先を作って進めるのか、F Cなどに加盟するのかなどを明確に設定する必要があります。

そして自社の「規模」と「3年後の目標水準」によってどこまでの取り組みが必要になるのかを
見える化し、メンバーと共有する必要もあるでしょう。

これらが決まったら、次は具体的なマーケティング策を決めこむ必要があります。

  • ターゲットへのアプローチ( 集客) は、展示場、現場見学会紹介、イベント、WEB、などを
    どう組み合わせていくのか?
  • 前述の「シニアからの受注が難しい理由」をクリアするために営業活動において
    どういう工夫をするのか?
  • それぞれの活動を行なっていくのにどういう営業組織、スケジュール、予算でいくのか?

以上のような戦略から具体的なマーケティング策までを考えつつ取り組まないと、
単に、市場があるからといって今の自社の商品をなんとかシニア売りたいという形で取り組むのは
安易な考えと言わざるを得ません。

この機会に、シニア市場開拓に向けた戦略から見なおされてみてはいかがでしょうか。

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リブ・コンサルティングについて
会社名 株式会社リブ・コンサルティング(LiB Consulting co.,ltd.)
事業内容 総合経営コンサルティング業務
企業経営に関する教育・研修プログラムの企画・運営
企業理念 “100年後の世界を良くする会社”を増やす
設立 2012年7月 社員数 85名
東京本社 東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエアウエストタワー20F
大阪オフィス 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1-45 新大阪八千代ビル 10階
韓国支店 CCMM Bldg 12,Yeouido-dong, Young deung po-qu, SEOUL

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