はじめまして。
この度、「安定した受注を獲得するための5つの戦略」というテーマで執筆をさせていただきます株式会社リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。
このコラムでは、景気の波に左右されずに、安定的に成長を遂げている住宅会社様の特徴を分析し、皆様の経営にお役立ていただく事を目的としてお届けいたします。
事業戦略:新築後のアフターサポート体制を固めて営業上の強みに変える
はじめに
「安定した受注を獲得するための5つの戦略」というタイトルで執筆をさせていただきます
リブ・コンサルティング経営企画室の野里です。
このコラムでは、安定受注を実現するための戦略に焦点を当ててご紹介していきます。
第一回目は、「事業戦略:新築後のアフターサポート体制を固めて営業上の強みに変える」というテーマです。
これからの重点施策として、「新築(フロー)市場から既存住宅(ストック)へ」というスローガンが叫ばれるようになって久しい状況ですが、「ストック事業の強化=リフォーム・リノベーション事業の強化」というイメージが一般的ではないでしょうか。
もちろん、文字通りなのですが、実は、「ストック事業の強化」は、単にアフター事業収益を獲得するのみならず、「新築販売上のメリット」も十分に生み出す事ができるのです。
ストック事業の強化=アフターサポート体制の強化を進める
では、いかにしてストック事業の強化を新築販売上のメリットに繋げていくのでしょうか。
先述したように、「ストック事業の強化=リフォーム・リノベーション事業の強化」で考える場合、
当然ですが、「リフォームやリノベーションが受注できる体制づくり」が必要になります。
体制づくりの方法は、いくつか考えられるでしょう。
例えば、「専門のFCに加盟する」「自前でリフォーム部門を立ち上げる」等、
まずは看板を掲げていくという方法も一つです。
ちなみに、既に、ストック事業で高い収益性を挙げている大手ハウスメーカーを中心とした先進企業は
どのように収益を挙げているのでしょうか。
以下のような調査データがあります。
自社OB捕捉率(平均) | 大手ハウスメーカー | 32% |
---|---|---|
地域ビルダー | 14% |
自社OB捕捉率とは、「自社のOBから新築購入後再びストック系の仕事を請け負う割合」の事を指します。
大手ハウスメーカーの中には、この自社OB捕捉率が70%近くの数字をキープしている企業もあります。
地域ビルダーと比べて平均で約2.5倍以上もの差があるわけですが、
実は、収益性の高い企業は「自社のOBからの受注」による分が大きな割合を占めています。
その意味で、体制づくりの中で「自社のアフターサポート体制の強化」を進めていく事は非常に重要です。
大手ハウスメーカーを始めとした先進企業ではアフターサポート体制の強化として、
定期点検を100%やり切るというだけではなく、
お客様に将来必要となるメンテナンスやリフォームを、
自社に依頼していただくための仕組みを巧みに設けています。
例えば、メンテナンスプログラムでは短いところでも30年、長いところでは60年のアフターサービスを約束していますが、前提としてこれらのサービスは「全て無償で行う」といったものではありません。
例えば、一定年数ごとに、部品の交換や防水塗装など必要な修繕を有償で行ってもらうことを条件に、
躯体の保証を延長し、定期点検サービスも継続していくというものです。
このようにしてお客様との関係性を維持し、メンテナンスをすることのメリットを提示しながら
必要なメンテナンスを必要なタイミングで実施してもらうといった自社での囲い込みを進めています。
あるいは、地域密着型の住宅会社においても、OBのお客様との顧客接点の維持のために、
有料の会員制度を導入し、提案している企業もあります。
例えば、一定期間の定期点検訪問サービスが終了した後も、
「24時間365日」緊急対応窓口サービスや、定期点検の継続、設備や家具等の割引販売などの
特典を付けた会員サービスを提供しています。
中には、網戸の張り替えサービスを付与したり、
「はしごや工具の無料貸し出し」といったユニークなサービスもあります。
会費は概ね年間6,000円(月額500円)から10,000円程度で設定しているケースが多く、
この程度の負担で「安心」と「便利」が買えるとあってお客様からも好評を得ているのです。
そして、こうした仕組みを自社で取り入れることは決して不可能ではありません。
30年を目途としてメンテナンス計画を策定し、お客様と共有し、
必要なタイミングで適切な提案をしていけばよいのです。
▼ 図①【事例】長期メンテナンスプログラム
新築販売上の強みに変える
このようなアフターサポート体制の強化を持って、そのこと自体を「自社の強み」として
活用しているのが大手を中心とした先進企業の、今の新築販売上の戦術です。
例えば、新築販売上、商談の中で以下のようにお客様を啓蒙しています。
住宅会社を選ぶ基準 | 第一位 | 「アフターメンテナンス」がしっかりしている ……生涯のメンテナンスコストが抑えられる(結果的に安い) |
---|---|---|
第二位 | 「現場環境整備」がしっかりしている | |
第三位 | 「ブランド」がある ……安心して任せられる(だから新築時は安くはないのです) |
アフターサポート体制が充実しているという事は、住んだ後に掛かるメンテナンスコストも低減できる。
したがって、新築時では価格差がある(高く感じる)ように見えても、実はトータルでコストは安く、
かつ、住んだ後も快適に住み続ける事ができる、
・・・といったロジックです。
加えて、裏付けとして、自社のアフターサポート体制のプログラムを
営業ツールとして新築販売時に活用しています。
今は、お客様の方も「安心・信頼できる住宅会社」の条件として、「アフターサポートの充実」を
重視する傾向が強くなってまいりました。
このような嗜好性を持ったお客様が自社へ来場した時の事をイメージしてみてください。
この機会に、ストック事業の強化は新築販売にも活きるという事を念頭に、
自社のアフターサポート体制について見なおされてみてはいかがでしょうか。
- Vol.2
- 事業戦略:二次取得シニアマーケット開拓のための体制構築~
- Vol.3
- 地域シェアを高めて安定経営を図るためのブランド戦略
- Vol.4
- 地域密着型企業(中小企業)の海外進出の可能性
- Vol.5
- 事業成長を止めない最適な組織体制の構築
リブ・コンサルティングについて
会社名 | 株式会社リブ・コンサルティング(LiB Consulting co.,ltd.) | ||
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事業内容 | 総合経営コンサルティング業務 企業経営に関する教育・研修プログラムの企画・運営 |
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企業理念 | “100年後の世界を良くする会社”を増やす | ||
設立 | 2012年7月 | 社員数 | 85名 |
東京本社 | 東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエアウエストタワー20F | ||
大阪オフィス | 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1-45 新大阪八千代ビル 10階 | ||
韓国支店 | CCMM Bldg 12,Yeouido-dong, Young deung po-qu, SEOUL |